駐輪場のおじさんとセーフティネット

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「おはよう! 今日は早いね。 お仕事がんばって!」

「お疲れさん。 気をつけて!」

「なんか後輪、空気抜けてるみたい。ここで入れていくか?」

 

通勤の際に使う、最寄り駅の駐輪場でのひとコマ。

自分の父親と同じ世代のおじ様たちが、駐輪場の入り口で駐輪チケットの受け渡しや、

自転車の整理などの仕事をしている。

毎日利用する施設なので、おのずとお互いに顔を覚え、挨拶をするようになった。

いつもいるおじさんがいないと、あれ今日はお休みなのかな?元気かな?と気になるように、

向こうもなんとなく気にかけてくれているよう。

ただ、自転車を決められたところに止める。

それだけなのに、そこに人がいることで、安心感とか、ほっこりした人の温かさとか、

親切のありがたさとか見守られている感覚とか、いろんな感情が湧いてくる。

 

それに、駐輪場の隣は保育園になっていて、

子どもたちは、よくその駐輪場の前を通って近くの公園までお散歩をしている。

親としては、小さな子どもたちと女性の保育士さんだけで園からでて、

もし駅前をうろつく変質者に襲われでもしたらどうなるのかしらと心配するが、

駐輪場にいつも駐在する男性がいるということだけでも安心材料だ。

 

「ちゅうりんじょうのおじさん、いつもありがとう」

 

これは、その保育園の園児が勤労感謝の日におじさんたちに贈ったメッセージ入りの絵。

壁の目立つところに貼っていて、いつも見るたび微笑ましく思う。

 

ところが、ある日、

その駐輪場の前を通りかかると何かの撤去作業が始まっていた。

「どうしたの?」と聞くと、

「ゲートが全部機械に変わるねん。おっちゃんら全員クビ!」

来年度から、市の入札で請負企業がかわると聞いていたが、ショックだった。

機械にすることで効率化はするかも知れない。

 

でも、朝、顔なじみのおじさん達との心の交流は一切排除される。

地域で担っていた見守り番としての役割もなくなる。

まだ働きたいと思っているシルバー人材の人たちの働き口も減る。

 

何でも効率化、低価格でほんとにいいのだろうか?

ましてや、市の事業…。

多少、人件費がかかったって、私はこういうことになら税金を使って欲しいなと思う。

無縁社会が叫ばれる中で、またひとつ、セーフティネットが消えたような気がした。

 

 

女性視点のコト・モノ・店づくり 「女ゴコロマーケティング研究所」

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